当事務所は、巡回監査の実施により、お客様と毎月面談し、会計資料並びに会計記録の適法性、正確性及び適時性を確認します。
つまり、会計に関わる資料の整理及び会計ソフトへの入力はお客様ご自身でしていただき、それを毎月訪問して内容を確認します。
その一方で、「経理業務のわずらわしさから解放されて経営に専念していただくため」などを掲げて資料を預り、決算書や税金の申告書を作成する税理士もいます。
お客様からみると合理的で、楽をさせてくれる税理士のように見えます。ではなぜ、当事務所がそれをしないのか?
会社法 | 第432条第1項 | 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。 |
商法 | 第19条第2項 | 商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。 |
どちらにも共通するのは『適時に』という条件。『適時に』は言い換えると『速やかに』。
日々発生する取引の資料を集めて税理士に預ける時点で数週間から数カ月経過していてはこの条件は満たせません。
さらに『適時に』作成された帳簿は、万が一の際には証拠としてお客様自身を守ることになります。
刑事訴訟法 | 第323条第1項第2号 | 商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面(は証拠とすることができる) |
人材不足は一般企業だけの話ではなく税務署でも同様です。提出される申告書に少ない人数で対応する以上、悪質な納税者に対して注力したいのが実情です。
例えば現金出納帳の残高や役員報酬など税務調査において問題となる勘定科目について、申告書を作成する段階で1年間遡って訂正することが以前は当たり前のように行われていました。
そのようなことが常態化している会社や個人事業者であれば、税務調査では他の取引についても疑ってかかることになります。
月次巡回監査による確認が終わった後にデータを締めることができるTKCシステムを利用することで、その日以後の遡及訂正はしていないことが証明できます。
また書面添付制度を活用することにより、先に税務署の疑問点を解消することで税務調査が行われる可能性を低くすることができます。
「中小企業から提出される決算書は信用していない」という金融機関の姿勢を聞いたとき、仕方ないというのが正直な感想でした。
上記のような遡及訂正や税務署に出したものとは別の決算書を金融機関用に作成することは当たり前のように行われていたからです。
でもそれではお互い効率が悪い。
決算書の作成方法のルールである『中小企業の会計に関する基本要領』に従った決算書を作成し、月次巡回監査を行った日を証明できるTKCシステムを利用し、モニタリング情報サービス機能で申告書や毎月の試算表を提出することで、情報の積極開示を行います。
適格請求書等(=インボイス)保存方式、電子帳簿保存法、所得税の定額減税など、制度改正により中小企業も対応を求められるものが多くなっています。
また、経理業務におけるデータ連携機能の活用や毎月の給与計算や請求書発行など、DXの名のもとに会計ソフトの多機能化が進んでいます。
それらを活用することで、過去の自計化よりも負担の少ない自計化が可能となっています。
一つ一つの業務に様々なメーカーのシステムやそれぞれの窓口を作るのではなく、当事務所が窓口となってTKCシステムを活用した経理業務の効率化を行います。
自計化を行っても肝心の経営者がそれを見ていなかったり税務署や金融機関に説明できないのでは、自計化の目的は半分しか達成できていません。
TKCのクラウド会計システムを使うことで経理担当者だけでなく経営者のパソコンでも数値を確認できるようにしたり、スマート業績確認機能や月次決算速報サービスにより今までよりも簡単に自社の経営数値を確認できるようになります。
また、決算月が近づいてきた際には決算予測や納税予測を行い、必要に応じて節税対策の提案もさせていただきます。その後には予算や行動計画について話し合い、次の1年の指標となる経営数値の作成を行います。