当事務所では相続について考える際の優先順位を下記の通りとしています。
節税対策は、争族の原因と表裏一体です。なにか節税対策を行えば、その裏には争いごとの種が付いてくるということです。
その種はどの家でも芽が出て争いが起こるとは限りません。しかしその考え方を持たずに節税対策を行うと、思わぬ争族となることがあります。場合によっては節税対策を行わず、それによって減らなかった相続税額はご家族が円満に過ごしていくための必要経費と考えていただくようにお願いすることもあります。
相続対策を考えるタイミングは早いに越したことはありません。
相談を受けた際に推定被相続人が認知症などで意思表示ができない状態であることがあります。そうすると贈与・売買・保険などの契約行為や、遺言書作成ができなくなります。
それでも所有財産によっては評価額を下げることで相続税対策を行うこともできますが、非常に限定的になります。
なので、できるだけ早くご相談いただけるとそれだけ対策の幅が広がり、何よりも時間を味方に付けて長い時間をかけた相続税対策を考えることもできます。
理想は現時点での相続税の試算を行い、お客様の納得のできる相続税対策を講じることです。残念ながら誰にでも共通の相続対策はありません。ある家族にとっては簡単で費用対効果がとても高い節税対策であっても、同じことを別の家族に当てはめると大問題を引き起こすこともあるのです。
また、どれほど節税効果があろうとも、家族が納得や理解ができない対策は業者や専門家が勧めるのだから、という理由だけで節税対策をしてはいけません。
相続発生後でも遺産分割協議の内容によって相続税を減らすことができます。
その遺産分割協議の内容によっては二次相続における納税が多くなる可能性もあります。目先の納税額だけでなく、トータルでの納税額を考える必要があります。
また、相続が発生した際に預貯金の解約や不動産の名義変更をまず考える方がいらっしゃいますが、不動産の名義変更が完了した後に相続税申告に着手すると、遺産分割内容による節税対策も限定的となります。まずは税理士にご相談ください。
人材不足は一般企業だけの話ではなく税務署でも同様です。提出される申告書に少ない人数で対応する以上、悪質な納税者に対して注力したいのが実情です。
相続税の申告書においても書面添付制度があります。申告書は数字で表現するしかないので、見たうえで財産が無かったのか、見落として申告書に載っていないのかは分かりません。書面添付制度は税理士が税務署に対して作成する補足説明資料です。当事務所では相続税申告書作成の際には必ず作成し添付しています。
一次相続の完了はすなわち二次相続の発生前です。次の相続対策の開始の時です。
考える順番は変わりません。
わずかな相続税の節税よりも家族が円満に続いていく道を考えるご支援をします。